講演・セミナー

日本慢性期医療協会セミナー

会場:6号館A 定員:80名 公式サイトより事前登録が必要 受講無料

8月25日(水)

14:00~15:30

回復期リハビリテーション病院の栄養管理「食べるための半固形化栄養材による胃ろう栄養法の活用」

リハビリテーションを必要とする高齢者の低栄養やサルコペニア有病率は、いずれも約50%と報告されています。低栄養はリハビリの帰結や身体機能と負の関係が示されているため、リハビリだけでなく栄養管理を含めた両輪で介入することが求められています。栄養摂取の最善の方法は口から食べる経口摂取ですが、疾患を有する高齢者にとって必要かつ十分な栄養量(エネルギーやたんぱく質など)の全てを経口で賄うには現実的でないケースがあります。そのため、経管や胃ろう(PEG)の利用や併用など最善の選択肢を検討しなければなりません。それらの中でも、胃ろうを取り巻く環境や考え方は近年大きく変わり、旧来の「延命措置の手段」から現在は「食べるためへの戦略的手段」となっています。本セミナーでは、栄養状態や嚥下機能などの適切な評価から、患者や家族にとって最も有益な栄養管理方法は何か、また、胃ろうをどう活用すべきかを解説します。

座長:千里リハビリテーション病院 理事長 橋本 康子氏

講師:
  • 千里リハビリテーション病院 副院長 合田 文則氏
  • 千里リハビリテーション病院 栄養部 顧問 鞍田 三貴氏

橋本 康子氏橋本 康子氏

8月26日(木)

10:30~12:00

病院における身体拘束廃止のコツ

2001年、国は介護保険法の規定の中で身体拘束を原則廃止した。医療現場においては十数年遅れて、2016年度診療報酬改定において身体拘束に関する内容が取り入れられ、多くの医療機関や介護保険施設において身体拘束に関しても社会的な関心が高まっている。当院では、2002年より身体拘束廃止宣言をし、身体拘束せずにあらゆる認知症の患者に対応してきた。当院における認知症ケアは、パーソン・センタード・ケアの考えをベースとして、身体拘束をせずに「脳活性化リハ5原則」を実践するものである。工夫することにより、身体拘束に頼る必要はなく、さらに入院後早期の行動・心理症状の軽減が実現される。20年の間に構築された、病院における身体拘束をしないケアの具体的な内容や効果を伝えることで多くの病院に広げていきたい。

座長:千里リハビリテーション病院 理事長 橋本 康子氏

講師:内田病院 看護師 藤井 直美氏

橋本 康子氏橋本 康子氏

13:00~14:00

外国人介護人材の現在と未来

新型コロナウィルス感染症により雇用形態は多くの業種で変わってしまったが介護分野では有効求人倍率は依然高止まりしている。他業種からの人材流入もそれが介護人材不足を補えるとも考えにくい。そこで必要とされるのが外国人人材である。過去の歴史から未来を予想すると、在留外国人は、労働力だけでなく出生数でも人口減少が予想されている日本を支えていくことが考えられるのではないだろうか。日本に根付く外国人労働者は、昇給をし、管理者になる者も出るだろう。私たちは外国人人材に期待をし、国籍にかかわらずその力を認め、生かしていくことを考えなければならない。そこでその期待に沿うように、外国人労働者を日本に受け入れるためにEPA、在留資格「介護」、技能実習制度、特定技能の4つの制度が現在用意されている。それぞれのルートから各国の人材が入国し、日本において活躍してくれることを願う中、コロナ禍で一時期それが困難になってしまった。それが少しずつ再開し、受け入れの動きもやっと見えてきたところである。制度が施行され、人材確保のため期待が高い中なかなか受け入れが進まなかった特定技能を中心に、コロナ禍で止まっていた外国人の受け入れが再開した後の状況、今後の展望を考えてみたい。

座長:有吉病院 理事長 田中 圭一氏

演者:富家病院 理事長 富家 隆樹氏

富家 隆樹氏富家 隆樹氏

15:00~16:00

認知症の最新情報

昨今の医療の進歩により、寿命は延伸していますが、寝たきり高齢者と認知症疾患は増加しています。今回、認知症の診断、治療、予後、予防法などについて概説したいと思います。具体的には、認知症の医療に関して、①診断は適切か? ②今後の経過は? 食事を摂れなくなったらどうなるのか? ③暴言や徘徊などの周辺症状(精神運動興奮状態=BPSD)にどのように対処すれば良いのか? 他について、症例を提示して説明致します。①認知症の7割がアルツハイマー型認知症ですが、治療可能な認知症を除外する必要があります。②家族の方が心配されるのは、病気の進行や、経口摂取が出来なくなった時の対応の方法です。早い目に家族内で「人生会議」(=望む治療を話し合う)の開催をお勧めします。③BPSDに対して、非薬物療法や薬物療法についての情報を収集する。患者さんの健忘症状は重度でも、感情は残っています。その人らしく尊厳を持って加療を受ける方策や、コロナ禍の対処の仕方についても説明致します。

座長:(医)錦秀会 阪和第一泉北病院 院長 東森 浩一氏

講師:(医)錦秀会 阪和第一泉北病院 認知症疾患センター長 三木 哲郎氏

三木 哲郎氏三木 哲郎氏

8月27日(金)

10:30~12:00

看護師のスキルアップへの取り組み~展望と課題~

質の高い医療と看護が効率的に提供されるためには、医師も看護師も、知識の習得と技術の研鑽に向けた努力が、生涯にわたり継続されなければならない。超高齢社会において、「チーム医療」の推進が加速される中で、キーパーソンである看護師に期待される役割はますます複雑化・多様化・高度化し、そのスキルアップへの取り組みはとりわけ重要である。日本看護協会(日看協)は、1997年から、21の認定看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する「認定看護師」を多数養成し、その数は2万人を超えている。また、厚労省が2015年10月から開始した「特定行為に係る看護師の研修制度」は、多様な臨床場面において、看護師が医師の判断を待たずに、「手順書」により一定の「診療の補助」を行うことを可能にした制度である。日看協は認定看護師教育の中に、特定行為研修を組みこんだ、新たな認定看護師制度を導入した。一方、日本慢性期医療協会(日慢協)の当該研修は、国が指定した21区分38行為の中から『9区分16行為を必修』としていることが大きな特徴の一つである。多彩な病態の患者が増加している慢性期医療の現場では、ごく少数の区分の専門性を高めることよりも、日常遭遇する可能性の高い多くの特定行為を体得して、それを実践することの方が現実的である。この考え方は、臓器別専門医と総合診療医の関係とも重なる。高いスキルと豊富な知識に基づき、「診療の補助」と「療養上の世話」を実践する有能な看護師の養成は、確かに望ましいことであるが、最も重要なのは修了者の「質」の担保である。スキルアップの実現は必ずしも容易ではない。また、指導者の「質」の担保と教育の「標準化」も必要であり、研修内容のブラッシュアップとともに「フォローアップ研修」や「特定行為研修指導者講習会」の意義は大きい。セミナーでは、2つの協会の看護教育への取り組みを通して、看護師のスキルアップにおける展望と課題について考える。

司会 :日本慢性期医療協会 副会長 矢野 諭氏

講演① 特定行為研修を修了した看護師への期待
講師:日本看護協会 常任理事 木澤 晃代氏
講演② 日慢協看護師特定行為研修~求められる「質」の担保~
講師:日本慢性期医療協会 副会長 矢野 諭氏

矢野 諭氏矢野 諭氏

13:30~15:30

介護医療院で工夫していること

介護医療院が創設されて、3年が経ち、約4万床が開設されました。2020年秋に実施した日本介護医療院協会の調査では71%の施設が介護医療院の開設は総合的に良かったと回答されており、悪かったと回答した施設はわずか1件でした。このように介護医療院は概ね良好な評価を得ていると考えています。
一方開設後に苦労していることについて質問したところ
介護・看護の人材確保 66%
抑制ゼロ対策 61%
生活施設としての環境整備 52%
でした。そこで、今回の介護医療院協会の企画は「介護医療院で工夫していること」と題し、現場で直接関わっている職員の方から、実践に役立つ「抑制ゼロの工夫」と「生活の場としての環境整備の工夫」を講演したいただくことにいたしました。皆さん是非ご参集下さい。

司会 :日本介護医療院協会 会長 鈴木 龍太氏

講演① やってよかった介護医療院
日本介護医療院協会 会長 鈴木 龍太氏
講演② 抑制ゼロの工夫
有吉病院介護医療院 看護師長 嶋田 和子氏
講演③ 生活の場としての環境整備の工夫
介護老人保健施設ぺあれんと 介護科長 野村 美代子氏

鈴木 龍太氏鈴木 龍太氏